OLの早織は仕事を終え、一人暮らしの部屋へ帰宅し夕食を終えて、まったりとくつろいでいる。
今日もとりたててどうということのない日だった。
胸ときめかす出会いも、特別嫌なこともない。
変わったことといえば同僚の佐伯が肩こりがなおるとか言って昼休みに私に催眠術をかけようとしたことぐらいか。
もともと調子のいい男だから信用できなかったが、案の定目の前でパンパン手をたたくだけで催眠なんかまるでかからなかった。
ま、どうでもいい出来事である。
「あーあ、つまんないなあ…。」大きなあくびをひとつ。
それにしてもすることがない。ヒマだ。
「あああ、ち〇ぽほしい…。」ぽつっとつぶやいて、はっとする早織。
「え、私、今何言った?やだ、欲求不満かなあ…。」誰もいないにもかかわらず一人で赤くなって照れ笑い。
「あっはっはあ…。やだ。おかしい、ああ、もう寝ちゃおっと。」
自分で自分をごまかしてベッドにはいってしまう早織。疲れているせいだと思い込みたかったのだ。
早織は夢を見る。
ここは街角の店先、看板には「ち〇ぽ専門店」とかかれている。
早織は迷うことなくその店に入っていく。
「いらっしゃいませ、どのようなものをお探しでしょう。」
ここは高級店らしく、きっちりとしたみなりの女性店員が丁寧に応対する。
胸のネームラベルには『第一級ち〇ぽ鑑定士 澤芳江』と印刷されている。
店内のガラスケースのなかにはさまざまな、ち〇ぽがならべられている。
「そうねえ、最近なんかモノ足りないし…。刺激的なのがいいなぁ。」
「それでは、こちらなんかはいかがでしょう。ヨージ・サエキの春の最新コレクションですが。」
早織はさしだされたち〇ぽのひとつを手に取る。
「ちょっと試して見てもいいですか。」
「ええ、どうぞ。」
試挿室に入ってパンティーを脱ぎ、さっそくそのち〇ぽを挿入する。
「うっ、ふうう。最初の挿入感は品があるなかにも刺激的だわ。さすがヨージ・サエキね。
こうやって出し入れしても、あ、ふうん、すごい、このカリの引っかかりスゴクいい!!
ああん、ブランド品はやっぱりモノがいいからやめられないの。あああ!!うごく、うごいてるうう。
きもちいい…。ああ、とろけるよう…。ほしい。このち〇ぽ、ほしいわ………。」
早織は淫夢を見ながらベッドのなかでもだえている。
「ち〇ぽほしい…。ち〇ぽほしい…。」と眠りながら、うわごとを口走っている。
「はあん、ダメえ、いくううう…。」どうやら夢の中でイってしまったらしい。
淫夢は朝までつづいた。早織は何度も何度も試挿しては昇天した。
目を覚ました早織は夢のことは覚えていない。
ただ、体が妙に熱っぽくて股間に湿り気があるのを少し不審に思ったのだがさほど気にもとめなかった。
「あああー、なんかよく寝たーって感じかな。とりあえず、ち〇ぽほしい…。」
言ってからハッと自分の手で自分の口をふさぐ。
目だけで左右を見回す。鏡で自分の顔をじっとみる。
「どうしちゃったのよ。わたし。なんか、心にもないこと言っちゃう。」
しかし早織は気づいていた。自分の頭のなかで『ち〇ぽほしい』のフレーズがどんどん増殖していることを。
「やばいよー、ち〇ぽほしいよー、えっと、そじゃなくて、このまま会社言ってみんなの前で口走っちゃったら何て思われるだろう。ああ、ち〇ぽほしい。」
少し気を抜くと無意識にそのフレーズがでてしまう。
「ああ、もう、ち〇ぽほしい、ち〇ぽほしい、ち〇ぽほしい…。あーん、そうじゃなくてえ。」
もう頭のなかの半分は『ち〇ぽほしい』で占められているような感じだ。
他の事を考えようとしてもなかなか言葉がうかばなくなってきた。
不思議なことに会社を休もうと言う発想がわいてこない。あせりながらも出勤の準備を始める早織。
「とにかく、話さなければ大丈夫よ。それで、もうち〇ぽほしいから。ああ…。」
思考まで侵され始めている。
気力で身支度をととのえるとそそくさと玄関を出る。
電車の中でも、ドキドキしどおしだ。しゃべるまいとしても口が自然と動いてしまいそうで慌てて手で押さえる。
「ふごふご、ひんほほひい…。」口をおさえながらフゴフゴ言っている女を車内の乗客は変な目で見る。
駅につくともうたまらない。人気のないところを必死で探す。
あたりに誰もいないことをたしかめると「ああ、もう、ち〇ぽ欲しい、ち〇ぽ欲しい、ち〇ぽ欲しい、ち〇ぽ欲しい、ち〇ぽ欲しい、ち〇ぽ欲しい、ち〇ぽ欲しいったら、ち〇ぽ欲しいのー!!ああ、すっとした。」
フレーズを連発すると少し胸のつかえがおりたような気がした。
「あ、あ、あああー。ふん、大丈夫ね。きっとストレスのたまりすぎだわ。気をつけないとね。早く彼氏みつけないとってことなのよね。」
なんとか落ち着きをとりもどし、平静を装って出社する。
「皆瀬さんおはよう。」「あ、おはようございます。」どうやらもとにもどったようだ。ほっとする早織。
いつもどおりに仕事を始める。
「皆瀬さーん、ちょっと。この伝票なんだけど…。」
「あ、これはですね。ここのところのち〇ぽがほしいんです。」「え?」
「あわわわ…。」「今、変なこと言わなかった?私の聞き違い?」
「あの、そうじゃなくて、その、ちん…じゃなくてその。」しどろもどろになる早織。
「まあ、いいわ。これ、あなたがちゃんと処理しといてね。」「は、はい。」
なんとかごまかせたのだろうか。
落ち着かぬ気分のままコンピュータに向かう。いったいどうしてしまったんだろう。どうすればいいんだろう。
心はもう上の空だ。ふと気づくとコンピュータ画面いっぱいに「ち〇ぽがほしい」という文字を打ち込んでしまっている。
「あ、あ、あ…。」パニック状態になっているところに電話がかかってくる。外線だ。
「はい、もしもし、ち〇ぽがほしいです…。きゃ。」自分でガチャンと切ってしまう。
「はあ、はあ、はあ。」息が荒くなってきた。目が血走る。同僚たちも次第に変だと思い始めているにちがいない。
でも。頭の中の大半がもうそのフレーズで満たされてしまっている。
もうそれが彼女の言葉の全て、思考の全てになってしまいつつあるのだ。
「ああ、ち〇ぽほしい。ち〇ぽほしい。」恐怖でひきつりながらも、その言葉しかでてこない。そのことしか考えられない。
「よう、早織ちゃん、どうしたの。」佐伯が声をかけてくる。
どうしてだろう、彼が助けてくれる。彼だけが頼りだと、どうしても思えてしまう。
「佐伯君…、あの…。」
「ん?どうしたの。」ニヤつきながら佐伯が聞く。
「おねがい。佐伯君の…、佐伯君のち〇ぽがほしいの…。」